<<<<<-----

水素爆弾RDS-220。
冷戦時代にソビエトが生み出した歴史上最大の核兵器であり、その破壊力は広島型リトルボーイの実に3000倍以上に達する。
1961年10月30日に行われた核実験では1000キロ離れた場所からも爆発が目視され、その衝撃波は地球を3周しても止まらなかった。
本来の威力はこの更に倍はあったが、多量の放射性降下物がソビエト領内に拡散する事が予想され、これでも半分の出力に抑えられていたらしい。

こうした巨大核の開発は、爆撃精度が低かった時代には必要なものと考えられていた。
投下地点が逸れても目標物を根こそぎ消滅させるためにだ。
だが、やがて偵察技術とミサイルの命中精度が向上すると、ICBMに搭載できないこれら大型核の存在理由は一気に形骸化する。
かつては大国の威信の象徴だった巨大核爆弾は格納庫の骨董品となり、時代はミサイル競争へと突入。
現在は戦略兵器削減条約(START)によってそのほとんどが解体破棄されたという。

RDS-220は別名ツァーリ・ボンバ(爆弾の皇帝)と呼ばれていて、一説によればそう命名したのは西側諸国だという。
クレムリンに展示されている世界最大の鐘ツァーリ・コロコル、世界最大の大砲ツァーリ・プーシュカが由来だそうだ。
どちらも巨大過ぎて一度として使われた事はなく、従ってツァーリ・ボンバの名称には「巨大過ぎて行使できない」という揶揄が込められている、というのだ。

吉田振一 よしだしんいち shin-ichi yoshida